第24話    ヘラウキの改造の事 U」   平成18年10月02日  

 各々の特性を生かし、ソロバン型は潮の流れが余り無い時に主に使い、丸型は潮の流れがきつかったり、多少波が出て来た時に使うようにしている。誘導のスイベルは市販の16~18号のスナップ付サル管を用い、道糸のウキ止めの間にビーズ球か蛍光玉を上下に付ける。16~18号のスナップ付サルカンの穴は市販のウキ用のスイベルより、穴が大きく道糸の通りがすこぶる早いのが利点だ。以前遠矢ウキの遠矢さんがペンチでサルカンの端を楕円にして使っていた事を思い出して、小さなサルカンを其のまま使用する事を思いついたものである。

 現在潮の流れの強い場所で波がある時とそうでない場所とを、丸とソロバン型の二種類のウキを使い分けている。ウキは負荷を上げ過ぎるとどうしても感度が悪くなる。どちらにしても餌取を交わす関係もありガン玉4Bをメインして使っている。出来るだけ底ギリギリを狙う関係で、ウキの負荷をガン玉3~4Bに合わせて作っている。それに4Bだとそのまま薄暮のフカセ釣りをそのまま続行出来ると云う利点がある。自分の釣では、ダンゴを集中して撒いた近距離にその薄暮の時間に餌を投入し、結構良い型を上げている。永易名人のウキの使い方とは少し異なる自分流の使い方である。

 今年夏あたりから、その改良を思いついた。頭で考えるより、現場で使って見る事に越した事は無い。これまで20ミリの発泡で作っていたソロバン型を少し小さい15~18ミリにして、7ミリの発泡20ミリをそのソロバン型の頭上に取り付ける。真っ白の部分が、一層目立ち流れにも強く、意外と潮乗りも良い。

 他人と同じもので満足するか、自分独自のものを作るかはその人その人で満足度が異なる。要は自分に合うウキが、作れればそれで良いのではないだろうかと考えたりしている。他人が作ったウキを自分なりに使いこなせればそれでも良いのだが、不器用な自分ではそれが中々出来ない。そしてある種自分に釣に拘りがあるらしい。そんな釣しか出来ぬ自分は、他人と同じ物を使っての釣りでは、絶対に満足がいかないと云う臍曲りなところがある。

 昨年より今年、今年より来年と年々釣りの腕が上がると同じようにウキも進化せねばならぬと云う思いがある。一時の停滞があったとしても、絶対に退化してはならない。これも自分の釣に対する拘りの一つである。釣りにしても、何にしても満足した時から退化が始まると思っているからでもある。他の釣り人から見れば、なんと馬鹿な事をやっているとしか見えぬことでも、本人は至って真面目に考えている。時々隣で5枚釣れれば、こちらは7枚釣らないと・・・・と云う負けん気がまだ残っている。年に応じた枯れた釣りをと考えたいるものの、負けん気が残る内は、まだまだ釣りの進化は止まらない。

「釣れてますか?」とギャラリーが声をかけて来る。「いや〜! 今日はダメです。」そして魚が釣れてクーラーに入れた時、「なんだ! 釣ってるじゃないですか?」「こんなのは釣れた内に入りません。なんだったら、この魚全部差上げますヨ」。釣れて竿が曲がり、魚を取り込んでいる時が至上の喜びを感じている瞬間で、釣り上げてしまえばその喜びは終わってしまう。最近の釣りではそんな釣が多くなっている。大きなものはボラでも、引き味を楽しめれば何でも良いのである。但し、ボラの引きで竿を折っても困るので出来るだけ合わせない釣をしているのだが、たまに良い当たりをされてついつい合わせてしまう事もある。ウキの当りで大抵は判断出来るのだが、それが100%とは行かない。まだまだ修行が足りぬ未熟者である。そこでもっと魚種までハッキリと分かる敏感なウキを何とか作りたいと日々精進を重ねている次第である。