第76話    「自作の餌」   平成20年06月30日  

 最近では、竿ばかりか餌まで自作するようになった。僅か300~400円の餌とは云え、年間購入する額はバカにならない。昔はオキアミも、大型のオキアミが好きであったが、団子釣をするようになってからは小型の物が好きになった。オキアミはコマセ用の1キロ400円程度の安いもので十分に使える。

 何時だったか、購入したオキアミを噛んで見た事がある。それは甘かった。ああ、きっとこれは蜂蜜か砂糖などを入れた水溶液に浸したものではないかと直感した。付け餌の専門メーカーでは、それだけでなくチヌの好むような色々な添加剤を混入しているのだろうが、個人で使う分には、魚が食いつて、尚且つ程々の釣果が得られるようであればそれで十分だ。ここ何年か使って見ても、以前よりは魚の喰いつきは良いと自負出来る。

 チヌ釣りをする者は、甘い物が好きだと云う事は大抵の者が知っている事実であるから甘いものつまり蜂蜜とか砂糖を使えば良い。これらの物は、浸透圧の関係でオキアミから水分を抜いてくれると云う効果が期待出来る。水分が多いと遠投した時に餌が針から、落ちてしまうから正に一石二鳥なのである。

 また、チヌの習性で酒の匂いにも弱いと云う事実を知った。又、昭和三〇年代の関東のヘラ釣りで、理由は分からなかったが、何故かイモ練りや粥練りの餌に味の素を混ぜると釣れると云う事が広く広まっていた。その当時は、食いが良くなり何故釣れるようになるのかと云う理由の究明はなかったが、現在ではダシ=アミノ酸を魚が嗅ぎ分けていると云う事が知られている。実験によれば、海水に溶けたアミノ酸が広く分散し薄まっても、かなり遠くからでもチヌが寄って来る事が期待出来るのだと云う。それにニンニクを加え更に匂い効果を期待した事もあった。良いと云う事は、色々と試して見た。

 以上の事を踏まえて、自作の付け餌作りの改良に奮闘している。9年程前に自作の餌を作り始めた当初は、オキアミを初めから小さなオカズ入れに入れ、その箱に本ミリンをかけて水分が抜けたところで水分を別の容器に開け、更に本ミリンをオカズ入れに入れたものを冷凍庫に保管していた。以来毎年、使って見ては改良を重ねて来た。オキアミから出る水分には、オキアミから出たタンパク質が含まれていると思われるし、また蜂蜜や本味醂も糖分や酒の匂いも十分にチヌを寄せる効果が期待出来るから、団子や撒餌に混ぜて使うようにしている。それで余るものがない。資源を有効に使う事も、小さいエコに繋がっていると自負している。

 現在の作り方はオキアミを解かす。100円ショップで買って来たプラスチックのザルにオキアミをあけて水を切る。ホームセンターやクスリのショップなどで売っている300円程度の安い蜂蜜(本蜂蜜に糖分を加えた混ぜ物が多いもの)を買ってくる。過去に何回も作っているので、その容器を何本か取っている。その容器二本に溶かしたオキアミを分散し、本ミリン少々と蜂蜜で水分を大まかに抜く。時間にして2~3時間したら、一度中の水分を別の容器に開けて、もう一度本ミリン少々と蜂蜜を入れる。この時スーパーで買って来たおろし生にんにくを入れる事もある。

 更に半日置いたものを容器から水分を抜いて、これ又100円ショップから買って来たオカズ入れ8個に分散し入れる。この状態ではオキアミはまだかなり柔らかい。容器に入れたものにほんの少し、蜂蜜を加えて完成となる。また、これに味の素を少々振りかける事もある。