第77話    「季節毎の釣場」   平成20年07月15日  

 最近の釣では、遠出をすることは殆ど無い。酒田本港、北港等へ行くことが多いが、車で10分、降りてからせいぜい23分以内の場所を選び枯れた釣りを楽しんでいる。時間とガソリン代を掛けずに、遠くまで行かずとも、程々の型で我慢をすれば、結構楽しめる釣が出来る。昔は型を求めての釣が多かったように思う。しっかりと地に足を付けた地元の釣よりも、遠出する大型狙いの釣の方が釣れるような気がしての釣行が多かった。遠出しなくとも、近場でも「程々に釣れる釣りも楽しい!」と感じて来たのはここ10年くらいの間である。

 磯釣りも行なったが、酒田生まれの自分は防波堤や波止の釣りが得意である。磯は多少波が出ると釣れる事が多い為、常に危険が伴う。其れにも増して、酒田の釣り人は最上川沿って日本海に長く突き出した防波堤釣で育っているせいか、磯釣りは下手で根掛かりが多く不得意である。勿論防波堤や波止の釣りでも根掛かりはあるが、根掛りの数は圧倒的に磯場の釣りの方が多い。

 魚が釣れる場所は、同じ場所で釣れることはない。その日の濁りや風向き、季節等で釣れる場所が大いに異なる。それでも季節毎のHGを持っていれば、毎回ボーズになることは少ない物だ。ただし大型は少ないが、軟らかい竿を使えば、程々に楽しめる釣りが出来る。釣って面白い大型の釣りは大抵晩秋の陽が落ちてからの一時間の釣で、周りに人がいない時に来る事が多い。竿や椅子そして重いダンゴなど一式を持って10分くらいかけて歩かねばならない。

 そんな近場の貴重な場所は、他人には余り知られたくない。二、三歳のような数釣が出来る場所と違い土、日は釣らないように気をつけている。魚は思わぬ浅いところで、食ってくる事がある。場所を教えたら、河口から2000mも上流にあるので大抵の人はビックリして俄かに信じて貰えない。しかもタナは、二ヒロ半と極端に浅い。ただし、三間半の竿二本以上と庄内中通し竿では、ちょっときついポイントである。日頃バカは二ヒロ半くらいであるが、そこで大きいものを狙う時は、大抵五ヒロと長く取らなければならない。

 あたりが暗くなると外ガイドの竿では、道糸が絡むので釣り難い。その場所で暗くなってからは、大抵バクダン釣に変える。下手すれば穂先を痛めてしまうことなるので、糸から実の少ない庄内中通し竿の方が釣り易いのである。電子ウキを使う手もあるが、潮の流れと明かりをつけて刺激しない方が釣れる気がすると云う事で愛用の改造中通し竿を使う。

 当地では二、三歳物を釣る時は、数釣が出来る。その為半日の釣で510枚では物足りないと云う人が多い。釣りの上手な人は季節毎のポイントを知っているので、3〜4時間ほどの短い釣りで1530枚はいとも簡単に釣る人がいる。中には条件さえ揃えば一週間で100枚は固いと云う人も少なからずいる。今の釣り場も、そろそろ釣れなくなって来たので、移動する事を考えている。