第四図
へ此節の釣士ハ土踏まず、
乗り物で出かけるので、長
竿携帯を嫌ひ、あったら一
本竹の竿を切断して、二切
三切の継き竿にするが、僕
ハ惜しい事だと、いつも嘆
息する。唯、見せかけの竿
で大物釣る心無い奴ハ、結
局糊細工の竿でも充分だう
が、彼の専売特許とかいふ
継竿を見るに、尺以上の魚
に対してハ実に危険だし、
尺四五寸の魚を引懸けてハ
皆へし折れて仕舞ふに極ま
ってる。
内の伜なども東京製の袋入
と成てる二間半以上位の継
竿を持て、三瀬で黒鯛を引
懸けたが、さした方が潰れ
てしまったから魚ハ外つれ、
あらためて見ると、三ケ所
の継手皆殿れて居たとて、
其後一切継竿を廃した様
へ左様く此継竿といふハ
全く汽車乗りの仕方ない人
の為め、先づ玩弄の檬なも
ので、蓮も大釣士のひねく
り廻す道具でハないのう
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